大人になんて、ならないで。
* * *
「……終わったー!」
「お疲れ様ー」
定時より2時間程過ぎた頃。
仕事を終え、班のみんなが帰る支度をする。
……私も帰ろう。
帰宅の準備をしながらスマホを確認したら、
【今どこ?】
そんなメッセージと共に、
『遠野真矢』という名前が表示されていた。
……真矢くん?
メッセージが届いたの、2時間前だ。
なにか…用事だったのかな?
急ぎの用事だったら、もう今から連絡したら遅いかな?
みんなが部屋から出て行ったので、真矢くんに電話をかけてみる。
ワンコールしたら
『……っ、めぐちゃん…』
すぐに、真矢くんの焦ったような声が聞こえた。
「……真矢くん」
『今、どこ?
まだ家に帰ってないの?』
「まだ会社。残業してたの」
『……残業…
なんだぁ…』