大人になんて、ならないで。
え!!
「たい焼き…を奢ってくれるってことですか?」
「そうですよ」
「え!!
いや…それは…!」
たしかにあのお店のたい焼きは美味しいって評判…だけど!
少し値段が高いから、ちょっとしたご褒美として買うようなものだ。
それを奢っていただくなんて…!
「50円くらいの缶ジュースで十分なんですが…」
「じゃあそれも買いましょうか?」
「両方はいらないです…!」
どうやらたい焼きは折れてくれないらしい…。
優しさもここまでくると、誰かに利用されるかもしれませんよ部長…!
「安井さんはいつも頑張ってくれてるし、
ご褒美です」
「そんな…
私の頑張りなんて、みなさんと一緒ですよ…」
「……そうかな。
安井さんに救われてる人も、いるんですよ」
……私に救われてる人?
あぁ…瀬尾さんとか?
でも、今日の仕事は班のみんなでやったから…みんな同じだと思うんだけどな…。
私だけ貰っちゃって、いいのかな…。