大人になんて、ならないで。



私は、真矢くんが友達といるのを邪魔しないようにしたのに。



なのに…私が悪いの?




「……やくんだって」



『あぁ?』



「真矢くんだって、
私のこと、見えてないみたいなフリしてた」




すごく、居心地が悪かった。



真矢くんが同級生の女の子と仲良くしてるのを見るのも、真矢くんがそこに私を入れまいと遠ざけられたのも。



居心地が悪かったから…



だから、一人で行ったのに。




「……私は大人だから。
真矢くんがいなくても、買い物もできるし、一人で帰れるし。
姉の友達だからって、自分の友達より優先してなんて頼んでない」




そう言った時、ハッとした。



……こんなの、ただのやつ当たりだ。



真矢くんが友達を優先したいのは当たり前のことなのに。





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