大人になんて、ならないで。
こんなことで拗ねて、やつ当たりして。
私って、本当に……子どもだ。
『めぐちゃん』
「………」
『泣かないでよ』
スマホからそんな声が聞こえた後、ポロ、と頰に温かいものが流れて。
あれ…と手で頰を拭うと、
ぎゅっと、強い力が私の体を包み込んだ。
「真矢…くん…?」
「ごめん…一人にして」
「……一人でいいって言ってる…!」
大人になりきれない私は、まだ真矢くんを遠ざけようとする。
許しちゃいたい。でも、許したくない。
他の女の子なんて見ないでほしい。でも、困らせたくない。