大人になんて、ならないで。
「なんで…めぐちゃんは…」
私を抱きしめていた腕を解くと、真矢くんは少し怒ったような顔をして。
「……早く帰ろう。
姉ちゃんに怒られる」
私の手からスーパーの袋を奪い取ると、スタスタと先に歩いていく。
……今度は…手、繋がないんだ…。
また友達に会って、急に離されるのも悲しいし…。
だいたい、付き合ってもない男女が手を繋ぐのも、おかしな話だ。
ちょっと寂しい…なんて、思う資格ない。