大人になんて、ならないで。
* * *
真優が作った、チーズが乗ったハンバーグを食べながら、さっきまでのことを話した。
「真矢と買い物行く途中で真矢の友達に会って、
それで、自分の居場所がなかったから、真矢に黙って一人で行った、と」
「……うん」
「そんで、
スーパーで三好部長に会って、たい焼き奢ってもらったんだ?」
「うん」
「嬉しかった?」
「うん…ちょっと。
部長のことも少し聞けたし」
「ふーん」
真優がハンバーグを頬張りながら、チラッと真矢くんの部屋の方を見た。
「三好部長はいいよね。
カッコいいし、優しいし。
会社の女社員は、一回は三好部長を通るわよね」
心なしか、さっきより大きな声で、それもちょっと棒読みっぽく真優が言った。
…あんまり大きな声を出したら、真矢くんに聞こえちゃいそうだよ…。