大人になんて、ならないで。
「ごちそうさまでした」
「あ、ごめんお皿こっち持ってきてくれる?」
先に食べ終わってキッチンでお皿洗いをしていた真優のもとへ、自分の空いたお皿を運ぶ。
「手伝うよ」
「いいよいいよ。
明日も仕事なんだし、早く家帰ってゆっくりしなよ」
そう言った真優が、真矢くんの部屋に向かって大きな声で『真矢ー!』と呼んだけど、返事がない。
でも気にせず真優が、また大きな声で続けた。
「愛のこと送ったげてー!」
「えっ…!
いいよ、一人で帰れるよ…!」
真優の家から私の家まではそんなに遠くないし…
それに、真矢くんは嫌がると思うし…。
何より、真矢くんと2人になるのが、気まずい。