大人になんて、ならないで。
「大丈夫です…一人で…」
「上司の命令です。
さぁどうぞ」
ニコ、と向けられた笑顔には、いつもはない、圧のようなものを感じて…。
「……はぃ…」
たぶん返事は、蚊の鳴くような声だった。
おそるおそる部長の背中に体重を預けると、
すぐに体が宙に浮いて、その瞬間すごく恥ずかしくなった。
「眠かったら、俺の背中で寝てもいいですからね」
いや…恥ずかしくてそんなの無理…。
って、思っていたけど
その言葉を聞いたのを最後に、私は眠りについてしまっていた。