恐怖症、克服しますっ!



1人でパニックになっていると、カタッ、と何かが落ちる音がする。

誰か、ペンでも落としたのかな。

条件反射で音のした方を向くと、ペンを落としたのは葵だった。


葵は落ちているペンを拾おうとせず、私に何かを伝えるように、口をパクパクさせていた。


“せ・ん・せ・い・を・み・ろ”


先生を見ろ……?

私はそこで、ようやく分かった。

葵、ありがとう。


今までのパニック状態が嘘のように、私は堂々と自己紹介をした。


「葉山 葵です! 好きなことは、ダンスと手芸です! よろしくお願いします!」


自己紹介を終えたと同時に、私は席に座る。

それから葵に「ありがとう」と口パクで伝えた。

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