恐怖症、克服しますっ!


そう思って、席を立って葵の席へ向かう。


すると。

「ごめんっ。南の鬼教師に呼ばれちゃって!」


「あ……。大丈夫! ひとりでも平気だからっ」

「本当に……?」

「大丈夫だよ! 早く南先生のところに行かないと怒られちゃうよ?」


葵は申し訳なさそうに手を合わせてから、教室を出て行った。


走っていくと転ぶよ……と思いながら、私は少し心細くなった。

騒いでいるクラスメイトを見ないようにしながら、私は自分の席についた。


本でも読んでいようかな。

ひとりが心細いからって、あのクラスメイトたちには混ざれない。

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