恐怖症、克服しますっ!
机の横にかけている鞄から本を取り出そうとすると、私の前に人影が。
私は動きを止めて、顔をあげる。
そこに立っていたのは、七瀬さんだった。
「葉山さん、だっけ?」
え……。
なんで、七瀬さんが?
私に話しかけているの?
「葉山さん?」
再び名前を呼ばれて、私は思わず、
「はいっ!」
と、教室に響き渡るような大きな返事をしてしまった。
しまった、と思うと遅い。
教室中が会話を止め私たちに視線を向けている。
やらかした。