恐怖症、克服しますっ!
屋上の扉を開ける。
ここは、一条くんと初めて話した場所で。
こっちは、一条くんとみんなでお弁当を食べた場所。
思い出がどんどんあふれてくる。
私は、屋上の真ん中で、しゃがみこんだ。
涙が次から次へと流れて止まることを知らない。
涙と一緒に、この気持ちも流してくれればいいのに。
だけど、簡単に消えるほど軽い想いじゃないから。
私は、しゃがみこんだまま、紙袋を抱きしめた。
「葉山さんっ!」
屋上の扉が勢いよく開くと共に、私の名前を呼ぶ……。
大好きな人の声が聞こえた。
幻聴?
涙でいっぱいの顔で、屋上の扉を見れば……。
「いち、じょうく、ん……」
一条くんが息を切らしながら、立っていた。