恐怖症、克服しますっ!



我に返る私。



「そういうのはっ! 好きな子とやってよ……!」



一条くんの胸元を押して、離れようとするけれど、抱きしめる力が強くて離れることが出来ない。



「分かった」



一条くんの言葉を理解する前に、もう一度触れる唇。

今度は、さっきより少し長く感じた。



「……だからっ! そういうのは好きな子とっ、」

「うん。『好きな子』とキスしてる」

「じゃあ! 私になんて、しないで……」



再び涙があふれる。

涙で目の前にある、一条くんの顔がぼやける。

そんな私の頬に、もう一度キスをする一条くん。


わけわかんないよ。



「葉山さん」



何かを言いたげな、一条くん。


何も聞きたくない。

聞きたくないよっ。


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