恐怖症、克服しますっ!




「朝聞いたこと……。俺が葉山さんに好かれているなんて、俺の完全な勘違い」


手紙、見た。

と、言った一条くんの悲しそうな表情を見たら。



何も言えない。




「でも、」

一条くんは、傷ついたような瞳で私を見つめる。



「葉山さんが思っているより、人は葉山さんを見ている」

それは勘違いしないで。


と、言い残して一条くんは屋上を出て行った。



どういうこと。


一条くんの言葉の意味が分からない。

分からないけど。

分からないから、聞きたいんだ。



私はお弁当箱をその場に置いて、思わず走り出していた。



< 71 / 383 >

この作品をシェア

pagetop