恐怖症、克服しますっ!



「そうやって、今まで過ごしていたの」


一条くんは静かに私の話を聞いてくれた。


こんな私の話を。

一条くんは真剣に聞いてくれる。

優しい瞳で。


そんな優しい視線に私は耐えられず、思わず涙をこぼした。



「ごめんなさいっ。……私の勝手な理由で、避けてしまって、ごめんなさい……」



涙を見せたくなくて下を向いた。


もう、何の涙なのか全く分からない。



一条くんへの申し訳ない気持ち?

自分の苦しみを思い出したから?

自分のことを惨めで恥ずかしいと思ったから?




……ううん。



< 87 / 383 >

この作品をシェア

pagetop