恐怖症、克服しますっ!



一条くん……震えている。


『男の人が怖い』と言う、私のことを『抱きしめたい』って言ってくれた。

一条くんも『男の人』なのに。

それを、一条くんは分かっているから、震えているんだ。



でも。



「私……」

「……うん」

「私、一条くんのこと、怖くない……」



一条くんは確かに、クラスの人気者で。

このルックスと優しさを持っていれば、学校中の人気者でもあるよね。

……小学校の時のいじめの原因になった、男の子を思い出すけれど。



一条くんは……あの男の子とは、全く違う。



なんで、今まで目を背けていたんだろう。


なんで、こんなに温かい人から、目を背けていたんだろう。



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