大人になった日に、家族を見つけました
その映像は、幼かった赤村初音(あかむらはつね)の記憶に鮮明に覚えていることだった。

両親が妹と外食に出かけ、初音は一人で目玉焼きと味噌汁を作って黙々と食べていた。おいしくないご飯を、ただ生きるために食べる。

「そうだ!今日は確か、大好きなアニメがある日だ!」

リビングの暗い空気を変えようと、初音はテレビをつける。すると、映し出されたのは美しい振袖を着た女性たちだった。

「わあ……!綺麗……」

赤や青、緑にピンクなど華やかな振袖が初音の目を釘付けにする。こんなに綺麗な着物を見るのは初めてだ。

「成人式……。二十歳になったら、私もこんな着物が着れるんだ!」

初音は胸を高鳴らせる。そして、生まれて初めて未来に対して希望が持てた。



それから数年。二十歳になった初音はベッドからゆっくりと体を起こす。

十二月の中旬、来月行われる成人式に初音は胸を高鳴らせている。成人式に参加することが初音の夢の一つだったからだ。そのおかげで、頑張って生きることができた。
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