大人になった日に、家族を見つけました
「は、初音……」

初めて見る両親の姿に、初音の友達は戸惑っている。初音は友達に自分の親のことは話していなかった。

止むことのない暴言の嵐に、初音は泣きそうになる。泣くもんかと唇を噛み締めても、悲しみは募るばかりだ。

「僕の大切な人を、泥棒呼ばわりするのはやめていただきますか?」

その声が聞こえた刹那、初音の前に大きな背中が現れる。両親と妹が戸惑った顔をした。

「……詩音さん?」

「うん、詩音さんです」

泣き出しそうな初音に、詩音がニコリと笑いかける。妹が「誰このイケメン!!」と頰を赤く染めた。その目はギラつき、詩音を狙っているのだと初音はすぐにわかる。

「初音のお父さん、お母さん。お目にかかれて光栄です。今日は言いたいことがあって来ました」

詩音は初音から両親に目を移す。何が始まるのか初音は緊張した。詩音は頭を下げて言う。

「娘さんを僕にください!!というか、勝手に攫っていきますので!!」

「えっ!?」

両親ではなく、初音が声を上げた。突然のプロポーズにどうしたらいいのかわからない。詩音がくるりと初音の方を向いた。
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