大人になった日に、家族を見つけました
「お前はこの家の誇りだよ」

「さすが私たちの子どもね!」

両親の優しい声に、「大げさ!」と妹が言う。初音は心の傷をまた抉られた。

物心ついた頃から、両親の目には初音は映らなくなっていた。双子だというのに勉強もでき、運動もでき、容姿端麗で友達の多い妹にだけ、愛情が注がれた。初音にかけられる言葉は、罵声かため息でどれだけ頑張っても褒められたことなどなかった。

好きなものも初音は買ってもらえず、旅行でさえ留守番させられた。周りの目はいつも妹に向けられ、初音の居場所は家にも学校にもなかった。

そして高校三年生の時、初音は行きたい大学があった。しかし、両親は初音の言葉を無視して妹の有名大学の受験を応援した。

「馬鹿なお前に金を出すほど無駄だ!!」

「働いて家にお金を入れるのがあんたの役目!!」

両親にそう罵られ、妹に嗤われ、初音は泣きながら夢を諦めた。そして高校を卒業してからはずっと経理の仕事をしている。
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