大人になった日に、家族を見つけました
そして周りに人がいないこと、防犯カメラの死角になっていることを詩音は確かめる。初音が「どうしたの?」と訊ねる前に、唇が塞がれていた。

こっそり、初音は詩音と何度もキスを重ねた。

それから、二人はレストランで夕食を食べ、初音は詩音に家の近くまで送ってもらった。

「本当にここでいいの?家まで送らなくて大丈夫?」

心配げな目をする詩音に、初音は「大丈夫」とキスをする。

「妹たちにバレたら嫌だから……」

初音は、彼氏がいることを家族に言っていない。「妹に譲りなさい」と言われるかもしれないからだ。高校生の時、初めてできた彼氏は妹に呆気なく奪われてしまった。詩音を奪われたくはない。

「じゃあ、またね」

互いにそう言い、また唇を重ねる。そして詩音は初音の頰にキスをした。これが「バイバイ」の合図だ。

詩音との幸せなデートが終わると、初音はいつも悲しくなる。愛をくれるのは、詩音しかいないためだ。家に帰りたくなくなる。
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