もう一度あなたに恋をする
魔の手
相変わらず嫌がらせも陰口も止まないまま、あっという間に二か月経ちもう十二月。
『去年の今頃は事務所閉鎖の知らせで就活しなきゃって焦ってたな』と思い返しながら出社の準備を進める。今日は午後からのプロジェクト会議があるため通常業務を午前中に仕上げないといけない。
定時よりも一時間早い朝八時『おはようございます。』と出社すると既に久瀬さん、夏樹さん、滝沢さんが出社していた。夏樹さんと世間話をしつつ仕事に取りかかる準備をしているとプロジェクトメンバーが全員揃っていた。
私も始めようとパソコンを立ち上げ開こうとしたがパスワードを打ち込んでもエラーがでて起動しない。何度トライしても同じ。その様子に隣の夏樹さんが直ぐに気づいてくれた。
「朱音?」
「夏樹さん・・・、パソコンが起動しない。」
夏樹さんが代わりにしてみるが結果はやはりエラー。そして直ぐに久瀬さんを呼んだ。
「朱音のパソコンが開きません。パスワードがエラーになってしまって。」
「エラー?九条、昨日パスワード変えた?」
「いえ。昨日もいつも通り電源を落として帰りました。」
久瀬さんが変わって操作してみるが動かない。それどころか全てのデータが消えパソコン自体が初期化されていた。
「データ別に残してるよね。パソコンは俺の使っていいから仕上げして。」
「わかりました。」
そう言ってプロジェクトの資料とUSBがまとめて入れてあるデスクの引き出しを開けようと鍵をさしたがいつもと違う。
「あれ?鍵が開いてる・・・。」
無い!!引き出しの中にしまってあるはずの資料が全て無くなっていた。プロジェクトの資料は紛失防止のためデスクの鍵付き引き出しに保管してあった。横でその様子を見ていた二人も驚きを隠せないようだ。
直ぐにプロジェクトメンバーが会議室に呼ばれた。パソコンのデーター消去、資料の紛失、話を聞いたみんなの顔が強ばっている。ここ数か月の私についての噂や嫌がらせをみな知っているから。
私がみんなの足を引っ張ている。落ち込みそうになるが今は午後の会議に向けて何とかしなくてはならない。時間は八時半、あと約六時間。
「データは前回までの分が俺のパソコンに入っている。それを使って修正案作り直せるか?」
「はい。やります。」
「よし。俺と九条は今から資料を作り直す。九条が担当する今日の作業をみんなで振り分けてくれ。それとこの件は他に知らせるな。」
プロジェクトメンバーはみな早くに出社してきている。幸い今はまだこのフロアに他の社員はいなかった。
「はい。」
「九条や俺について聞かれれば、急遽プロジェクトで変更箇所が出来たためそっちにかかっていると言ってくれ。メンバー以外この会議室に来させるな。」
「わかりました。」
会議室に籠り作業を進める。時折、滝沢さんが顔をだし久瀬さんと渋い顔をしながら何か話込んでいた。
『去年の今頃は事務所閉鎖の知らせで就活しなきゃって焦ってたな』と思い返しながら出社の準備を進める。今日は午後からのプロジェクト会議があるため通常業務を午前中に仕上げないといけない。
定時よりも一時間早い朝八時『おはようございます。』と出社すると既に久瀬さん、夏樹さん、滝沢さんが出社していた。夏樹さんと世間話をしつつ仕事に取りかかる準備をしているとプロジェクトメンバーが全員揃っていた。
私も始めようとパソコンを立ち上げ開こうとしたがパスワードを打ち込んでもエラーがでて起動しない。何度トライしても同じ。その様子に隣の夏樹さんが直ぐに気づいてくれた。
「朱音?」
「夏樹さん・・・、パソコンが起動しない。」
夏樹さんが代わりにしてみるが結果はやはりエラー。そして直ぐに久瀬さんを呼んだ。
「朱音のパソコンが開きません。パスワードがエラーになってしまって。」
「エラー?九条、昨日パスワード変えた?」
「いえ。昨日もいつも通り電源を落として帰りました。」
久瀬さんが変わって操作してみるが動かない。それどころか全てのデータが消えパソコン自体が初期化されていた。
「データ別に残してるよね。パソコンは俺の使っていいから仕上げして。」
「わかりました。」
そう言ってプロジェクトの資料とUSBがまとめて入れてあるデスクの引き出しを開けようと鍵をさしたがいつもと違う。
「あれ?鍵が開いてる・・・。」
無い!!引き出しの中にしまってあるはずの資料が全て無くなっていた。プロジェクトの資料は紛失防止のためデスクの鍵付き引き出しに保管してあった。横でその様子を見ていた二人も驚きを隠せないようだ。
直ぐにプロジェクトメンバーが会議室に呼ばれた。パソコンのデーター消去、資料の紛失、話を聞いたみんなの顔が強ばっている。ここ数か月の私についての噂や嫌がらせをみな知っているから。
私がみんなの足を引っ張ている。落ち込みそうになるが今は午後の会議に向けて何とかしなくてはならない。時間は八時半、あと約六時間。
「データは前回までの分が俺のパソコンに入っている。それを使って修正案作り直せるか?」
「はい。やります。」
「よし。俺と九条は今から資料を作り直す。九条が担当する今日の作業をみんなで振り分けてくれ。それとこの件は他に知らせるな。」
プロジェクトメンバーはみな早くに出社してきている。幸い今はまだこのフロアに他の社員はいなかった。
「はい。」
「九条や俺について聞かれれば、急遽プロジェクトで変更箇所が出来たためそっちにかかっていると言ってくれ。メンバー以外この会議室に来させるな。」
「わかりました。」
会議室に籠り作業を進める。時折、滝沢さんが顔をだし久瀬さんと渋い顔をしながら何か話込んでいた。