もう一度あなたに恋をする
(回想) 久瀬
二月末、急に森谷班のアシスタントが辞める事になった。旦那さんの転勤だと言われば無理に引き留める事もできない。四月になれば二人アシスタントが入社予定だが新入社員ではこれから大きなプロジェクトを控えている俺のチームではお荷物にしかならない。そうでなくとも専務から押し付けられたアシスタントが寺川班にいるのだ。
どうするか・・・、何処かにいいアシスタントがいないか頭を悩ませていると『佑、四月からになるがアシスタント来るから。』と珍しくデザイン企画部に顔を出した親父がニコニコ顔で話しかけてきた。親父はどこからそのアシスタントを引き抜いてきたのかは分からなかったが、親父が認めたアシスタントなら大丈夫だろう。仕事が落ち着いている三月の一か月ならアシスタント無しでもなんとかなるか。
四月になり親父が呼んだアシスタントは大阪事務所に所属していた入社四年目の女の子。いや四年目となれば二十五歳にはなっているだろうから女の子と呼ぶと失礼かもしれないが彼女が醸し出す雰囲気から女性とは言い難い。本当に仕事が出来るのだろうかと少し不安に思う。
今チーム内にアシスタントは立花さんしかいない。今までは辞めたアシスタントが立花さんがこなせない分もカバーしてくれていたから二人しかいないアシスタントでもチームの仕事は滞る事無く回っていた。
とりあえずどれだけ出来るのか見極めなければ任せる仕事を選べない。早速、森谷さんに過去の仕事の資料を渡してもらい作業してもらう事にした。昼から作業を始めたので定時内、四時間以内で修正を含め完璧に仕上げれば御の字と思っていたら2時間半近くで仕上ったと言う。直ぐに確認を森谷さんがすると『訂正なしです。』と驚いている。
大阪事務所時代の彼女の事を知っている滝沢チームの高木さん曰く『朱音ちゃんの仕事はいつも完璧』だそうだ。常に一人でアシスタントをこなしていた彼女はうちで扱う仕事は何でもこなせると。なぜ親父がアシスタントなのに手放さず東京へ呼んだのか分かった。
見かけによらず仕事が完璧な彼女だが、仕事とは全く関係のないところでちょこちょことドジをしている事に気が付いた。仕事となるとキリっと引き締まる彼女だが普段は見た目通りフワッとした女の子。なぜだかそんな彼女が可愛く思えて仕方がない。ついつい彼女の行動を目で追ってしまう。
ある日、椅子に上がって資料を取っていた彼女が東山とぶつかり椅子から落ちてケガをした。立ち上がれずにいる彼女に駆け寄り大きなケガをしていないことを確認し安堵した。
あの日ケガをした彼女を抱きかかえてから自分の気持ちが抑えられなくなってきた。いつでも自分の目の届くところに置いておきたい、彼女をかまいたくてしょうがない。
今まで何人かの女性と付き合ってきたが、こんな気持ちになったのは初めてだった。向こうから告白され嫌でなければ付き合う、別れを切り出されるか自分が面倒に感じれば別れる。彼女のように自分から何かしたくなるなんて事は一度もなかった。
彼女は数か月経っても俺の気持ちには一向に気づきそうにない。それなのに中学からの親友でもある滝沢には速攻バレてしまい面倒な日々を送っている。
どうするか・・・、何処かにいいアシスタントがいないか頭を悩ませていると『佑、四月からになるがアシスタント来るから。』と珍しくデザイン企画部に顔を出した親父がニコニコ顔で話しかけてきた。親父はどこからそのアシスタントを引き抜いてきたのかは分からなかったが、親父が認めたアシスタントなら大丈夫だろう。仕事が落ち着いている三月の一か月ならアシスタント無しでもなんとかなるか。
四月になり親父が呼んだアシスタントは大阪事務所に所属していた入社四年目の女の子。いや四年目となれば二十五歳にはなっているだろうから女の子と呼ぶと失礼かもしれないが彼女が醸し出す雰囲気から女性とは言い難い。本当に仕事が出来るのだろうかと少し不安に思う。
今チーム内にアシスタントは立花さんしかいない。今までは辞めたアシスタントが立花さんがこなせない分もカバーしてくれていたから二人しかいないアシスタントでもチームの仕事は滞る事無く回っていた。
とりあえずどれだけ出来るのか見極めなければ任せる仕事を選べない。早速、森谷さんに過去の仕事の資料を渡してもらい作業してもらう事にした。昼から作業を始めたので定時内、四時間以内で修正を含め完璧に仕上げれば御の字と思っていたら2時間半近くで仕上ったと言う。直ぐに確認を森谷さんがすると『訂正なしです。』と驚いている。
大阪事務所時代の彼女の事を知っている滝沢チームの高木さん曰く『朱音ちゃんの仕事はいつも完璧』だそうだ。常に一人でアシスタントをこなしていた彼女はうちで扱う仕事は何でもこなせると。なぜ親父がアシスタントなのに手放さず東京へ呼んだのか分かった。
見かけによらず仕事が完璧な彼女だが、仕事とは全く関係のないところでちょこちょことドジをしている事に気が付いた。仕事となるとキリっと引き締まる彼女だが普段は見た目通りフワッとした女の子。なぜだかそんな彼女が可愛く思えて仕方がない。ついつい彼女の行動を目で追ってしまう。
ある日、椅子に上がって資料を取っていた彼女が東山とぶつかり椅子から落ちてケガをした。立ち上がれずにいる彼女に駆け寄り大きなケガをしていないことを確認し安堵した。
あの日ケガをした彼女を抱きかかえてから自分の気持ちが抑えられなくなってきた。いつでも自分の目の届くところに置いておきたい、彼女をかまいたくてしょうがない。
今まで何人かの女性と付き合ってきたが、こんな気持ちになったのは初めてだった。向こうから告白され嫌でなければ付き合う、別れを切り出されるか自分が面倒に感じれば別れる。彼女のように自分から何かしたくなるなんて事は一度もなかった。
彼女は数か月経っても俺の気持ちには一向に気づきそうにない。それなのに中学からの親友でもある滝沢には速攻バレてしまい面倒な日々を送っている。