もう一度あなたに恋をする
目を覚ますと久瀬さんが私の手を握って傍にいた。

ああそうか、私、階段から落ちたんだ。

『大丈夫?』と気づかってくれる彼に心配はかけたくない。体中痛いが笑って答えた。
すると暫く黙っていた彼に急に抱きしめられた。

そして『好きだ』と・・・。

私?私の事を好きって言ったの?
信じられない。

でも本当に彼は私の事を好きでいてくれるらしい。
関係を崩したくなくて黙っていた自分の気持ちを伝えていいの?

「返事は落ち着いてからでいいから。」

そう言い帰ろうとする彼の袖を思わず掴んで引き留めてしまった。
勇気を出せ、自分!

「わ、わたしも、久瀬さんが・・・・好きです。ずっと前から。」

どもりながらではあるが言えた。

暫く目を見開き固まっていた彼は『ありがとう』と言って額にキスを落とした。
しかも『朱音』って名前まで呼んで!!

思わぬ彼の行動に思わず布団に潜り込んでしまった。
彼はクスっと笑い『また来る』と言って帰って行った。しかも帰り際、布団越しであったがもう一度キスを落として。

明日、いや今日また彼が戻って来た時、ちゃんと顔を見れるだろうか。
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