もう一度あなたに恋をする
朝八時、朱音は回復室から自分の病室に戻ってきた。でもまだ目は覚めない。
眠り続ける朱音の横に腰を掛け手を握った。暖かい体温が伝わり生きていてくれることに安堵する。
いつの間にか俺は朱音の手を握ったまま寝てしまったようだ。寝たと言っても一時間ほど。
「朱音おはよ。朝だぞ。」
声をかけるが彼女が目を覚ます様子はない。自販機でコーヒーを買い病室に戻った。ちょうど医師が様子を見に来たところらしく朱音の容体を確認していた。
「安定してますね。もうそろそろ目を覚まされてもいいころだと思うんですがね。」
そう言う医師にもいつ目覚めるかは分からないらしい。またベッドの横に腰掛け朱音の手を握り話しかけ続けた。11時になって朱音の両親が病室にやって来た。昨日駆けつけた時より母親の顔色もよく眠る娘を見ても取り乱すことは無かった。
「九時ごろ先生が診察され容体は安定していると仰ってました。」
「目はいつ頃覚めるとか?」
「先生にも分からないと。でももう目覚めてもいいころだと言われてましたね。」
朝の様子をご両親に伝え俺は病室を出た。俺がいては気を遣わせるだろうと思い病室を出てきたが朱音の傍から離れる気にはなれずナースステーション横の談話コーナーで何をするでもなくただ座っていた。
「やっぱりここか。」
声がし見上げると滝沢が目の前に立っている。
「ほら、昨日からまともに食ってないだろ。とりあえずこれを食え。それを食べ終える頃にちょうど社長が来るだろうから。」
俺の横に座った滝沢の目が『黙ってさっさと食え』と訴えているので何も聞かず持ってきてくれたサンドウィッチを食べた。
一時、滝沢の言った通り親父がやって来たので朱音の病室へと移動した。
「この度は大事な娘さんに大けがを負わせてしまい誠に申し訳ございません。」
親父、俺、滝沢がご両親に頭を下げる。
「頭を上げてください。社長さんにまでわざわざ来ていただいて申し訳ないです。」
「いえ、九条さんのことを私が東京に呼ばなければ、こんな事件に関わらずにすんだんです。ケガを負う事もなかった・・・。本当に申し訳ない。」
今、確かに事件って言ったよな?
「滝沢と申します。昨日分かった事をご説明させて頂いてよろしいですか?」
「久瀬君から朱音の周りで起こっていた事について教えてもらったのですが何か新しく分かった事があるのですか?」
「はい。」
昨日、朱音が緊急手術になった事実をメンバーに伝えると立花さんが今までの事を語りだした。それは朱音への嫉妬心が膨らみ陰口や嫌がらせだけでは気が済まず大事な会議資料までも破棄したと言う事だった。そしてそのピンチをも難なく乗り越えた朱音が憎くてたまらなくなり階段から突き落としたと語ったと言う。
「簡単なんかじゃない、朱音は努力して・・・。あの日も休憩も取らず時間に間に合わせるように頑張ったんだ・・・。」
震える声で俺はそう呟いていた。手も怒りで爪が食い込むほど握って。
「彼女は今警察で取り調べを受けています。九条さんが目覚められたら事情を聴きにこちらにも警察の方が来られると思います。その時はよろしくお願いします。」
ご両親に親父と滝沢はもう一度頭を下げ病室を後にした。そして俺もまた談話コーナーへ戻るため病室を出ようとした時
「私たち、お昼まだなんだ。久瀬君は食べたかな?」
「はい。さっき滝沢がサンドウィッチを持ってきてくれたので。」
「そうか、じゃあ私たちは食べに行くから朱音の傍にいてやって。もし何かあればここに連絡してくれるかな。」
自分の携帯番号を書いた名刺を俺に渡しご両親は病室を出て行った。
眠り続ける朱音の横に腰を掛け手を握った。暖かい体温が伝わり生きていてくれることに安堵する。
いつの間にか俺は朱音の手を握ったまま寝てしまったようだ。寝たと言っても一時間ほど。
「朱音おはよ。朝だぞ。」
声をかけるが彼女が目を覚ます様子はない。自販機でコーヒーを買い病室に戻った。ちょうど医師が様子を見に来たところらしく朱音の容体を確認していた。
「安定してますね。もうそろそろ目を覚まされてもいいころだと思うんですがね。」
そう言う医師にもいつ目覚めるかは分からないらしい。またベッドの横に腰掛け朱音の手を握り話しかけ続けた。11時になって朱音の両親が病室にやって来た。昨日駆けつけた時より母親の顔色もよく眠る娘を見ても取り乱すことは無かった。
「九時ごろ先生が診察され容体は安定していると仰ってました。」
「目はいつ頃覚めるとか?」
「先生にも分からないと。でももう目覚めてもいいころだと言われてましたね。」
朝の様子をご両親に伝え俺は病室を出た。俺がいては気を遣わせるだろうと思い病室を出てきたが朱音の傍から離れる気にはなれずナースステーション横の談話コーナーで何をするでもなくただ座っていた。
「やっぱりここか。」
声がし見上げると滝沢が目の前に立っている。
「ほら、昨日からまともに食ってないだろ。とりあえずこれを食え。それを食べ終える頃にちょうど社長が来るだろうから。」
俺の横に座った滝沢の目が『黙ってさっさと食え』と訴えているので何も聞かず持ってきてくれたサンドウィッチを食べた。
一時、滝沢の言った通り親父がやって来たので朱音の病室へと移動した。
「この度は大事な娘さんに大けがを負わせてしまい誠に申し訳ございません。」
親父、俺、滝沢がご両親に頭を下げる。
「頭を上げてください。社長さんにまでわざわざ来ていただいて申し訳ないです。」
「いえ、九条さんのことを私が東京に呼ばなければ、こんな事件に関わらずにすんだんです。ケガを負う事もなかった・・・。本当に申し訳ない。」
今、確かに事件って言ったよな?
「滝沢と申します。昨日分かった事をご説明させて頂いてよろしいですか?」
「久瀬君から朱音の周りで起こっていた事について教えてもらったのですが何か新しく分かった事があるのですか?」
「はい。」
昨日、朱音が緊急手術になった事実をメンバーに伝えると立花さんが今までの事を語りだした。それは朱音への嫉妬心が膨らみ陰口や嫌がらせだけでは気が済まず大事な会議資料までも破棄したと言う事だった。そしてそのピンチをも難なく乗り越えた朱音が憎くてたまらなくなり階段から突き落としたと語ったと言う。
「簡単なんかじゃない、朱音は努力して・・・。あの日も休憩も取らず時間に間に合わせるように頑張ったんだ・・・。」
震える声で俺はそう呟いていた。手も怒りで爪が食い込むほど握って。
「彼女は今警察で取り調べを受けています。九条さんが目覚められたら事情を聴きにこちらにも警察の方が来られると思います。その時はよろしくお願いします。」
ご両親に親父と滝沢はもう一度頭を下げ病室を後にした。そして俺もまた談話コーナーへ戻るため病室を出ようとした時
「私たち、お昼まだなんだ。久瀬君は食べたかな?」
「はい。さっき滝沢がサンドウィッチを持ってきてくれたので。」
「そうか、じゃあ私たちは食べに行くから朱音の傍にいてやって。もし何かあればここに連絡してくれるかな。」
自分の携帯番号を書いた名刺を俺に渡しご両親は病室を出て行った。