もう一度あなたに恋をする
翌日、昨日と同じ7時ごろに久瀬さんは会いに来てくれた。

「昨日言ってた写真とプロフィール。」

そう言って渡されたA4サイズのファイル。中を見てみると顔写真にプロフィールとメッセージまで付いていた。チームのメンバーの他にプロジェクトメンバーとチーム以外の私が仲良くしてもらっていた人たち。らしい・・・。

「松本に言ったら張り切ってみんなの写真撮り回って作ってた。あいつの今日の仕事はほぼこれだったんじゃないかな。」

「えっ、私仕事のじゃましちゃいましたね・・・。」

「みんな『松本、今日それ作り終わるまで仕事を免除する!』ってノリノリだったからいいよ。」

この前、父と母の前で『みんな待ってる』と言ってくれた事が本当なんだって思えて嬉しくて涙で視界が歪む。

「久瀬さん、私やっぱりこっちで頑張りたいです。」

そう伝えると久瀬さんは嬉しそうに優しく頷いてくれた。
心配する父と母には申し訳ないが私の気持ちは早々に決まってしまった。

「久瀬さん!私が本社に来てからどんな仕事をしていたのか教えてくれませんか?」

少し考えていた久瀬さんだったが

「わかった。でもそれは来週からな。今週いっぱいは仕事は休みだ。」

そう言いながらまた私の頭を撫でた。そして思い出したかのように、

「あっそうだ。松本たちが休みに会いに来たいと言っていたがどう?まだ体調も心配だし断ってもいい。もし不安なら俺も同席する。」

松本さんたち・・・。
プロフィール帳をめくる。たぶんいつも一緒にお昼を食べていた人たちだろう。

「会いたいです。忘れてしまっているので皆さんに不快な思いをさせるかもしれませんが。」

「いや、そこはたぶん大丈夫だろう。逆にあのテンション・・・九条が心配なくらいだ。」

?と頭を捻っていると

『まあ会えば分かるよ』と。なんだそのぼやかしは・・・。
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