もう一度あなたに恋をする

退院そして復帰

年末ギリギリの十二月二十八日

「検査結果も大丈夫ですね。明日退院していいですよ。次は一月十五日に来て下さいね。それと早く仕事復帰したいみたいだけど、できれば後一か月は休んでほしいけど?」

「もちろんです。一か月後の検診で許可が出てから復帰させます。」

私が答える前に久瀬さんが答えている。
なぜ退院の説明の場に久瀬さんがいるのか。それは両親、特に父が病院に行けない親の代わりに久瀬さんの同席を求めたから。私の術後の説明にも彼は同席していたらしく病院側もすんなりと許可を出したのだ。

絶対に仕事が忙しい久瀬さん。
私には大変そうな素振りは見せないが、毎日お見舞いに来てくれるのも大変だっただろう。今日だって仕事を抜けて来てくれている。

それなのに明日の退院時も迎えに来る言う。『タクシーで帰る』と言っても聞く耳を持たず、三十分ほど押し問答したが『十時に迎えに来るから』と言い切り帰って行った。





迎えに来てくれた久瀬さんの車で病院を出た。帰っても食料も何もないだろうと途中スーパーにまで寄ってくれた。そして食料その他を調達し帰ってきた我が家。

ここに住んでた記憶が無いから帰ったという思いも全く起こらない。逆に知らない家具家電に囲まれ、他人の家にお邪魔しているようだ。





翌日、母たちが到着するまでの間暇なので家の周辺の探検。本当なら私が帰省した方がいいのかもしれないが、年末年始の混む新幹線に一人乗せるのは心配と母たちが来る事になったのだ。

正月も終わり両親が帰った後は久瀬さんが毎週末、家へ様子の確認と仕事の進捗状況を知らせにやって来てくれるようになった。そして土日のどちらかは気晴らしにとドライブに連れて行ってくれたり、『重いものも買いな。持つから。』と買い物に連れて行ってくれるが楽しみで、いつの間にか週末が来るのを指折り数えて待つようになった。
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