もう一度あなたに恋をする
着いた久瀬さんの家は2LDKのマンション。

「朱音はこの部屋使って。俺的には一緒の方が安心なんだけど。」

「この部屋、お借りします!」

「そんな即答されると少し傷つくなー。まあでも朱音的には恋人になって数日だし、ちょっとずつ慣れてね。」

そう言ってチュッと唇を合わせ買い物袋を持ちリビングの方へ去っていった。



わっ、わっ、病院でも何度もキスされたけど、甘さが違う。


部屋に入り荷物から洋服を出し、しわにならないようにクローゼットにかけた。

「他の物はこのままキャリーバックに入れたままでいいかな?一週間くらいだし、また詰め替えるのも面倒だしね。」







テーブルに向かい合わせで座り私が作った夕飯を今、久瀬さんが目の前で食べている。少し前まで彼を諦めるしかないと思っていたから、この状況は夢のようだ。

しかも明日からは家でも会社でも一緒だ。でも会社では黙ってた方がいいよねと思っていると久瀬さんがまた爆弾発言。

「朱音、明日はお弁当作って行くの?」

「はい。お弁当箱も持ってきましたから。」

「じゃあ俺のも入れて。」

「えっ?久瀬さんのお弁当?」

「そう、二人分作るの大変?さっきスーパーで買ったから俺の弁当箱の心配はいらないよ。」

いつの間に・・・。

「いえ、一人分も二人分も変わらないので大丈夫ですが。」

「じゃあ、お願いね。それにしてもやっぱり朱音の料理はおいしいね。自宅療養の間も週末何度か作ってくれた時も思ったけど。」

この人隠す気ないな・・・。
入院前の社内での陰口や嫌がらせを思い出しズシっと心に重たくなった。
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