いちご



すごく居づらい上に、何だか考えなくちゃいけないし、……私どうしよう。



少し一人になりたくて、ベンチを立った。


「ちょっとコンビニ行ってくる」


ちょうどタバコもなくなるし。珈琲も飲みたいし。



「気を付けてねえ~♪」


ニヤニヤと笑う美春に、苦笑いしかできなかった。



「俺も行く」


背を向けて歩き出そうとした時、背後から瑠衣斗の低い声がして足を止める。


振り返ると、もう私に向かって歩いてきていた。



立ち止まっていた私の横をすんなり通り過ぎると、


「行くぞ~」


と声を掛けられ、慌てて後を追う。





来た時に見掛けたコンビニは、歩いて15分程だろう。



広場を抜け、駐車場まで来たので、車で行くのかな?と思っていたら瑠衣斗はそのまま車の横を通り過ぎていった。


堤防沿いに続く道のりは、緩くカーブしていてコンビニが見えない。


時折通る車に、瑠衣斗はさりげなく私を歩道側へと寄せて、自分は車道側を歩いた。



「ありがと」


「ん?」


言われた意味が分からないのだろう。

私を見下ろした瑠衣斗は、太陽の光で髪の色が鮮やかな金に染まって見えた。


「道。寄せてくれてありがとって事」


「ああ、別に大したことないよ」


ふっと表情を緩めた瑠衣斗は、色素の薄い目を細め、八重歯を覗かせて笑った。



いつもはふざけてばかりだけど、こういう時、瑠衣斗は本当にさりげなく優しかったりする。


大人なのか子供なのか。よく分からないけどね。


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