いちご
慶兄の事、嫌いじゃないし、好きと言われて嬉しくない人は居ないと思う。
意識し過ぎて、苦痛になってくると言うか、心が緊張しっぱなしで疲れちゃうんだ。
私には、慶兄はもったいないと言うか、私のどこがいいの?と思ってしまう。
普通に今まで通り接したいのに、まともに慶兄の目すら見れない。
きっと挙動不審な私を他所に、慶兄が口を開いた。
「瑠衣斗、ちょっといいか?」
「ん?あ?あぁ、うん」
そう言って瑠衣斗は立ち上がると、慶兄に付いて波打ち際を二人で歩いていった。
二人を眺めていると、ふと宗太が「よっこいしょ」と、私の横に腰を下ろした。