いちご


「ここよく来るの?」


「ん?いや初めて。雑誌で観た」


人の事言えないくらい早く注文を決めてたので、何回か来た事あるのかと思った。


「るぅって良い店知ってるよね」


「食う事好きだからな~」


料理が上手いし、作る事も好きなら食べる事も好きなんだろう。


「にしても女だらけだな。何か居心地わりい」


タバコをふかしながら言う瑠衣斗は、本当に居心地が悪そうだ。

広い店内は、広いカウンターを中心に、いくつかテーブルが並べられ、縦長な作りのお店だった。


小さな黄色い花が、全てのテーブルとカウンターに、透明なガラスの小さな花瓶に生けて飾られている。


ちらほらとカップルも居て、日当たりもよく、可愛らしい店内だ。


「るぅがおっきいから目立つんだよ」


「いや、ももの小ささだな」


そんなくだらない会話を、サラダが運ばれてくるまで続けた。


いつものような雰囲気が嬉しかった。



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