いちご
「私っ…わたっ…う、ぅみっ」
「産みたい?」
顔をぐちゃぐちゃにした美春は、一度私の顔を涙を流しながら見つめると、大きく頷いた。
「きゃー!!ママじゃん!!すごーい美春~!!」
思わず美春に抱き付き、ぎゅうぎゅうと抱き締めた。
「ももぉ…ありがとぅ…っうえっ」
心がぽかぽかして、何だか胸が熱く切ない。
目頭が熱くなったような気がした。
私、今めちゃくちゃ感動してるんだ。
ハッとして、ガバッと美春の肩を両手で掴み、顔を合わせた。
「美春…俊ちゃんは?」
「…まだ…言ってないの」
え!!ダメではないか。
でも、そうだよね。赤ちゃんがお腹にいるって事だけでも、ビックリして不安になっちゃうんだもん。
「言わなくていいのかな?」
「…怖い……」
私が連絡するべきではないし、美春の頑張りどころかもしれない。
「言う事が怖い?」
俯いてしまった美春に、優しく問い掛けてみる。
「反対っ…されっされたら…どうしよっ…学生だしっ」
「…反対されたら、私がぶん殴ってあげる。私が、美春と赤ちゃんを守る。パパでも何でもやったげる。授かった命は、大切にしなきゃ。赤ちゃんは、美春をママに選んで来てくれたんだよ。学生とか関係ないよ。そう言う事を言うのは、逃げだよ。綺麗事かもしんないけど、美春が、この子を守りたいかじゃない?」
美春が顔を上げて、じっと私の言葉を聞くと、泣き笑いのように笑って見せた。
「もも…本当に大好き。愛してる」
…何でいつも愛してる??
えへへ…と笑うと、美春はテーブルの上の携帯を手に取った。