いちご


少しすると、騒がしかった講堂が静かになり、慌てて前を向き直った。


やっと解放された…。とホッとしていると、ジュリが私の前に携帯を差し出した。


パッと見ると、赤外線の画面になっている。


アドレス交換って事ね。


気が乗らなかったが、断る理由もない。ゴソゴソと鞄から携帯を取り出すと、赤外線画面にしてアドレスを交換した。


ふわっとジュリの香りが濃くなったかと思ったら、耳元でジュリがコソコソと囁いた。


「連絡するから」


「う…うん」


心臓の音が、周りに聞こえてしまっているんじゃないか。と思う程、ドキドキしている。



講義は地獄のように長く感じた。



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