いちご


軽く伸びをして、周りを見渡した。

結局、瑠衣斗を発見する事もないまま、ノートなどを鞄にしまおうとした所だった。


「これからの予定は?」


顔を覗き込むようにして、ジュリの顔が突然目の前に現れ、心底驚く。


キメの細かい白い肌は艶々してて、サラサラの明るい髪は、枝毛なんかないみたいだ。


「んっと…ちょっと行く所があるかな」


綺麗な滑らかな眉をハの字にすると、残念そうに唇をつぐんだ。

そんな表情は、少し幼さが垣間見られ、可愛いなんて思ってしまう。


「そっかあ…残念」


ポツリと言うジュリを見ていると、何だかとっても申し訳なく思えた。


淡いブルーと黒を混ぜたような色をした瞳が、キラキラと輝く度に、泣いているんじゃないかと思わせる。


「…ごめんね?」


何故か罪悪感を感じてしまい、申し訳なくそうジュリに言った。


「連絡する。今度食事でもしよう?」


パッと顔を上げると、期待するような瞳で私にそんな事を言う。


とりあえず、この気持ちは受け取っておこう。


「うん、そうだね。ありがとう」


私の返事を聞いた途端、パッと嬉しそうに笑顔になった。


「約束だよ?楽しみにしてるよ」


「うん、分かったよ」



何だか、とんでもないお友達ができてしまったかもしれない。



< 235 / 503 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop