いちご


意外にも、ジュリはとてもお喋りで、自分の事を良く話してくれた。


父親がフランス人で、母親が日本人な事。


一人っ子な事。


フランスには行った事がなくて、フランス語はもちろん、英語も喋れない事。


温泉と温泉卵が大好きな事。


焼き魚と納豆、もつ鍋と甘いものが好きな事。


「あとは、彼女が居ないから欲しいなあ…」


ポツリと言うジュリは、ストローから口を離さずに言った。


何だか色っぽさを感じ、慌てて目の前の飲み物を飲んだ。


「ジュリはめちゃくちゃモテそうじゃん」


今でも、チラチラと視線を感じる程だ。


本当に、何でこんな人が私なんかと友達になりたがったのか不思議だ。


「モテないよ。それに、モテたとしても、一番好きな人に振り向いてもらえなきゃ、そんなの意味ないよ」


「…確かにね」


しっかりとした意思を感じる答えに、思わず納得してしまう。


片思いって、感情の起伏が激しくて、大変だしね。



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