いちご
「……」
聞き覚えのある声に、身体中の細胞が不自然に固まったようだった。
「…え?…誰だろ」
怪訝な表情で見つめる美春は、私の腕を掴んでいた手の力を緩めた。
甘い耳に残る声が、集中しなくてもすぐそばで聞こえるようだ。
「何で…」
「来ちゃったあ♪るいの学校おっきいから探したよぉ~!!」
瑠衣斗の驚く表情が、見なくても分かるようだった。
見たくない。お願いだから気付かないで!!
「ねえ…もも知ってる?」
「ん?え…っと~…」
激しく鼓動するせいで、息がつまるようだ。
何であの子がここに居るんだろう…。