いちご
いつまでも玄関にいる訳にもいかず、とりあえずお風呂にでも入ろうと思い、湯船のセットをしてリビングへ戻った。
静けさが嫌で、テレビをつけてソファーに座り込んだ。
沢山泣いて、瞼だけじゃなくて顔全体がむくれている気がする。
冷やす気にもなれず、ただテレビから流れる映像と音声を見つめた。
瑠衣斗はどうして…私に、あ…あんな事…するの?
自分の唇をそっと触れるが、自分の指先は瑠衣斗の唇と違って、ひんやりと冷えている。
好きな人と、そう言う…キスする事は、やっぱり嬉しい。
でも、私達は両想いじゃない。
私達は付き合ってる訳でもない。
どう言うつもりで、瑠衣斗はキスをしたの?
ただ慰めるために?ただその時の気分で…?
胸がギュッとして、切なく疼き始めた所で、お風呂が沸いたアナウンスが背後から聞こえ、パッと意識を戻した。
とりあえず、今日は早く寝よう。いろいろありすぎて疲れちゃった…。
思考の渦に浸かっていた私は、バスルームへと向かった。