いちご
「二日酔いって、名前に酔って入ってるじゃん?とってもくだらない質問なんだけど、飲酒運転には引っ掛かったりしないよねえ?」
ふと疑問に思い質問したが、瑠衣斗の顔を見る事もできないので、後ろから覗き込んでみたがダメだった。
「…もも、わりいけど頭使えねえ…。考えて…理由を話すだけでも、…頭痛と吐き気がする…」
短く区切りながら言う瑠衣斗が可笑しくて、思わず笑ってしまった。
きっと、飛び抜けてアルコールに強い俊ちゃんに、みんな付き合わされたんだろうな。
「そっか…じゃあ元気になったら教えてよ」
「…うん……はあ、効いたぜももパンチ…」
そう言って、キーを回してエンジンを掛けると、軽く吹かして後ろに振り返った。
腹に響く低くて大きな音に、ワクワクし初めている事に気付く。
「行くぞ…しっかり捕まってろ」
少し大きな声で言う瑠衣斗に、一度だけ頷いて見せると、後ろから瑠衣斗の腰に腕を回し、ピッタリとくっついた。
前まで何とも思ってなかった事なのに、今は、嬉しくて恥ずかしくて何とも言えない感覚だ。
自分両手をしっかりと瑠衣斗の腹部で重ねていると、ポンポンと瑠衣斗の手が私の重ねた手で弾み、同調したかのように私の胸まで弾み出してしまう。
いちいち過剰に反応しすぎて、貧血でも起こして倒れちゃいそう…。
そんな思いの私を乗せたまま、ゆっくり走り出したキラキラに磨かれた瑠衣斗の単車は、次の瞬間には、風を切るように音を弾かせて加速したのだった。