いちご
「あー!!気持ち良かったあ~!!」
大学に到着すると、指定の駐車場へ単車を停めてエンジンを切った瑠衣斗の後ろで、しがみついたまま声を上げた。
「俺も違う意味で気持ち良かった」
何だかすっかり二日酔いも治ったような瑠衣斗の声がして、腕を解いて顔を上げた。
「違う意味?」
「なかなか良い感触だよなあ~」
そう言ってヘルメットを取ると、ぺったんこに潰れて乱れた髪のまま、瑠衣斗が肩越しに振り返り、意味深に目を細めて笑った。
「…へっ?」
思わず瞬きをして、瑠衣斗を見上げたが、段々と恥ずかしさに顔が赤くなる事が分かる。
「さっ…最低~!!変態~!!」
立ち上がり、瑠衣斗の頭をグシャグシャにして顔を見られないようにするが、どんどんと赤くなるのが分かる。
「はは、ももが一生懸命しがみついてくれたから、二日酔いもすっ飛んだよ」
笑いながら言う瑠衣斗は、素直に頭をグシャグシャにされている。
「ありえねえ~!!この親父が!!」
グシャグシャにした頭を、更にグシャグシャとかき混ぜながら、くすぐったいやり取りに胸がキュンとしていた。