いちご
「知ってるよ。よーく」
何だかピリピリとした空気が、私達の周りだけに漂っているようだ。
「へーえ。それは嬉しいなあ」
見えない火花が散っているようで、間に挟まれた私は戸惑うしかない。
口を挟む雰囲気じゃなく、何だか私だけ置いてきぼりにされているみたいだ。
えっ…本当になに?
仲良く自己紹介をしているような雰囲気は、微動も感じない。
「もも、今日時間ない?」
「へっ!?」
突然ジュリに話を振られ、まさか私に声がかかると思ってなくて、間抜けな返事をしてしまった。
「はは。可愛いなあ…天使みたいだ」
「………」
返す言葉も出ずに、ただジュリを見上げるしかなかった。
だから…天使は君だと思うんだけどなあ…。
「ももは時間ねえよ。ずーっと俺と予定が詰まってる」