いちご



「…は…ぃ?」



ジュリを見たり、瑠衣斗を見たり、忙しいなあ私。


「昨日の夜も一緒だった。朝も一緒に来たぐれえだ」



口の端を釣り上げて笑う瑠衣斗は、陽射しをいっぱいに受け、色素の薄い瞳を細めて見せた。


「へ~え。それは忙しいなあ」


絶対にそんな風に思っていないような返事をしたジュリは、クスクス笑っている。


…いいや。もう正面を見ていよう。



「僕は、ももを見ているだけで幸せだから」


「わ、私…観賞用じゃない…よ?」


「……ももは見てても十分だけど…」


瑠衣斗を見ると、ニッコリと私を見つめている。


見てても十分…だけど?



「ももの唇は中毒になる。ぜってー触れるなよ?」




…うん。そうね。るぅの唇の方がよっぽどだと思うけどね。



うん…何だか嵐の予感……。

て言うか…すでに嵐……。



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