いちご
「何?」
平然を装って聞いてみると、慶兄は優しく微笑んでくれた。
「一人で抱え込むな。ももは強そうに見えて弱い」
「………」
顔がどんどん熱くなるのが分かった。
「弱い部分を見せる事は、悪い事でもカッコ悪い事でもない」
「……ありがとう」
さっきあんな顔見ちゃったから、今こんな事言われると恥ずかしい。
そして何だか、涙が出そうな気がした。
「いつでも頼ってこいよ」
ニコッと笑われ、私もつられて笑顔になった。
素直に頷くと、慶兄の手が頭の上でポンポンと弾んだ。
胸の中のモヤモヤした物が、すっとなくなった気がした。
その時、ガラっと扉が開かれたと同時に「あいつらまぢうっせー」と言いながら病室に瑠衣斗が入ってきた。