いちご
その言葉に従い、ゆっくりとベッドに横になった。
「そうだ、瑠衣斗」
思い出したように慶兄が瑠衣斗を呼んだ。
「は?」
「は?じゃねえだろ」
「な、何だよ」
首を傾げて二人を見ると、慶兄が備え付けのパイプ椅子を二脚出している所だった。
慶兄は、広げたパイプ椅子にどっかりと腰を下ろした瑠衣斗を確認すると、慶兄も並んで腰を下ろした。
「親父もお袋も寂しがってんぞ」
「…あ~……」
と言いながら、瑠衣斗は足を組んで腕組みをした。慶兄は腕組みして瑠衣斗を呆れた顔して見ていた。
そんな二人の会話を聞いてて良いんだろうか。
人の家庭の事情と言うか…家庭の話を聞いていいのか分からない。
まぁ多分、こうして話している分は別に聞かれても良い話なんだろうけど。
でも、瑠衣斗が言葉を濁すのでそう思った。
どんな家庭なんだろう。きっと明るい家族なんだろうな。
そんな事を考えている内に、軽い眠気を感じた私は、簡単にまた夢の世界へ旅立った。
一瞬龍雅が夢に出てきた気がする。