いちご



「………」


ん~眩しい~。


そう思い、眉間にシワを思いっきり寄せ、薄く目を開けた。



「お、起きたな」



そう言われてようやく目をパチリと開けた。


点滴が終わり、慶兄が処置してくれている所だった。


私は、医療用テープを剥がされた所で目を覚ました。



…また寝てたんだ…私。



素晴らしい程の眠りっぷりに呆然とした。



「ちょーっと痛いぞー」


慶兄にそう言われて、


え?と思った時にはもう遅かった。



鈍い痛みが左腕から伝わり、私は思わず苦い物でも食べたような顔になった。


針の痛みに、私は弱い。痛い事には違いないんだけど、何か独特な鈍い痛みが大っ嫌い。


「もう終わったぞ。なんなら泊まってってもいいぞ?」


かがんで私を覗き込み、優しくそう言った。



「ううん、大丈夫。家でゆっくりする」


「そうか~。残念だな。一晩中面倒見てやりたかったのに」



本当に残念そうに言われて、本気なのかと驚いてしまった。



「えぇ~!!」


「冗談だよ。また今度な」



あ…あぁ、うん。そうね。



< 42 / 503 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop