いちご
お腹が減ったから早く食べたかったらしく品数は少ないが、おかわりは沢山あるみたいで、私の倍は器に入っているビーフシチューに、見ただけでお腹が一杯になりそうだ。
相変わらず慶兄からの連絡はなく、流れ的にどうなっちゃうんだろう…。と考えてしまう。
前に来た時は、少なくとも状況は違って楽しかった。
喧嘩をした訳でもないのに、気分が落ち込む。
喧嘩してた方がまだましだよ……。
そんな事を考えながら、あまり進まない食事を黙々と続けた。
「ごちそうさま~」
あまり進まない食事を、無理矢理胃に押し込んだせいで苦しい。
瑠衣斗はとっくに食べ終えていて、隣で煙草をふかしながらテレビを眺めていた。
チラリと視線を私に向けたが、すぐに逸らされてしまい、胸が切なくぐちゃぐちゃになってしまうようだ。
「片付けるから座ってろよ」
「え、あ…りがと」
私を見ないままそう言うと、食器をまとめてくわえ煙草をしてソファーを立ち上がり、キッチンへ入っていってしまった。
再び体操座りをして膝を抱え込んでいると、瑠衣斗は両手にマグを持って私の隣に腰を下ろすと、目の前に一つのマグを差し私に渡した。
「…るぅ」
「ん?」