いちご
ベッドから起き上がり、私の右側に座る瑠衣斗が目に入った。
全く動かない様子からして、瑠衣斗も寝ているようだ。
「こいつから電話あった時は驚いたぞ~。タクシー拾ったからすぐ行くとか言うからなぁ」
そうだった。私は倒れてしまったのだ。
「病院で待ってたら、必死な顔して…ももをお姫様抱っこして来たよ」
「うそ…目立ってなかったよね?」
そう聞くと、慶兄は色素の薄い目を見開いて、次の瞬間笑いだした。
「普通に大注目だろ」
また目眩がする気がした。
「昔からそーゆう所あるんだよなあ。後先考えないと言うか」
「昔からなんだ」
「ま、成長してないって事かな」
そう言って、慶兄は瑠衣斗の頭をペシッと叩いた。
「!?」
ガタガタと瑠衣斗が驚いて目を覚ました。
「何か飯食わせてやれよ」
瑠衣斗はそう言った慶兄に一瞬目をやり、伸びをしながら「分かってるよ~」と欠伸をした。