いちご



身支度をして、三人で病室を出た。薄暗い院内を歩いて、よくやく玄関までやって来た。


玄関にタクシーが来ているのが分かる。



「何かあったらいつでも連絡しろよ」



タクシーの前までやって来た時、私の正面に立ち、白衣の慶兄が頭をポンポンと撫でてくれた。



「うん。本当にありがと」



瑠衣斗と一緒にタクシーに乗り込み、窓を開けた。


「またね!!」と言って手を振ると「しっかり食えよ~」と言って手を振ってくれた。


少しだけ私から視線が外れ、口元で笑ったので、瑠衣斗も挨拶したのだろう。



タクシーが進みだして、振り返ると慶兄は見えなくなるまで見送ってくれた。



< 44 / 503 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop