いちご



「っ!?」



思わず首を引っ込め、弾かれたように体が震えてしまい、せっかく拾ったジャケットとハンガーが再び床へと落ちた。



背筋がゾクゾクとし、馴染みのない感覚に体全体で踏ん張るように力を込めた。



スッと慶兄の大きな手が優しく私の頬を撫で、固まった私をほぐすように輪郭を撫でると、首筋に触れてそのまま顎を上に優しく上げられてしまう。



「力…抜いて」


「ふっ…」



唇の動きが首筋にダイレクトに伝わり、思わず声が漏れ、恥ずかしさに目を固く閉じた。


有り得ない程の胸の音が、こめかみを伝い全身に響いているみたいだ。


体のラインを確かめるように、慶兄の手が服の上から私の柔らかな物に触れ、もう一方の手が直に私の腹部に触れた。


「…もも……止めて欲しかったら殴れよ」


「まっ…っけぃに」



抵抗なんて到底できなかった。
痺れるような感覚に、全身の力が抜けてしまい、唇を噛み締めた。

力の入らない体を支えるのでいっぱいいっぱいで、慶兄の腕を掴むぐらいしかできない。



このまま私…慶兄と……――。


触れる指先が、優しく私の体を撫でている。


痛いくらいに噛み締めている唇が、緩みそうになるたびに必死でこらえた。


首筋から耳まで唇を寄せられ、慶兄の熱い息遣いに体が熱くなる。



優しく私を翻弄する指先が、スカートの裾から内股に触れた瞬間、思わずその手を押さえた。

「やっ、恥ずかし…っ」


「嫌なら殴れよ…」



慶兄の力に到底かなうはずもなく、ぐっと押さえたままの手は、私の抵抗も微動だにもせず、優しく私に触れた。


「やぁ…、っあ、ダメっ!!」
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