いちご
「それから…、」
「それから?」
オウム返しに聞き返すと、頬を優しく撫でられた。
この手が…私に触れたんだ。
そう意識しだすと、頭から湯気でも出ているんじゃないかと言うくらい、顔が熱くなる。
「っ!?んんっ…」
ぼんやりとそんな事を赤くなって考えていた私の唇を、慶兄の唇が塞いだ。
すぐに離れたと思ったら、触れるか触れないかぐらいの距離で慶兄は私の瞳を覗き込んでいる。
「今のは治療代」
「……治療…代?」
甘い笑顔でそう言われ、思わず腰が砕けそうになる。
甘い…甘いすぎるよ慶兄……。
チュッと軽く私の唇に再びキスをすると、慶兄がキッチンへと向かっていき、呆気にとられた私は身動きが取れなかった。
「待ってろよ。今冷やすモン用意するから」
「あ…はぃ……」
ドキドキと高鳴る鼓動と比例するように、胸が切なく疼く。
私の心は、確実に慶兄へ向いていっているような気がした。
広い背中が目に入り、再び胸がギュッと鳴いた。