いちご
「…ふっ、ん」
優しく撫でるように、慶兄の唇が私の唇を割って、熱い舌が私の中をかき混ぜる。
絡み取ろうとするように、ピッタリと隙間無く重ねられた唇を、押し返す事もせずに受け止めた。
何度も角度を変えて、確かめるように唇を重ねられ、頭の中が痺れるようだ。
優しく頭を支えられ、気が付くとベッドに押し付けられていた。
息がうまくできなくて、わずかな隙間から酸素を求めようとするが、慶兄はそれすら許してくれない。
苦しさに耐えきれなくなり、思わず慶兄の胸を押した。
「っはぁ、はっ…苦しっ…」
肩で軽く呼吸を繰り返す私を、フッと優しく微笑んだ慶兄がじっと見つめている。
何だか頭がぼーっとして、見つめ返すしかない私に慶兄がクスッと笑いを漏らす。
「全部、俺のモノにしたい」
「へ?」
素っ頓狂な声を出した私に対して、慶兄は堪えるようにクスクスと笑い続ける。
え?なになに?何で笑ってんの??
慶兄が笑う意味が分からず、キョトンと慶兄を見つめた。
「けど…素なんだよなあ。そんな反応されたら、襲う気もなくなる」
「お、襲…っ!?」
け…け、慶兄が…そんな事言うなんてっ!!!!
「だはっ、目ぇでけぇっ」
笑い出してしまった慶兄に、何を言えばいいのか分からず、ただ顔を真っ赤にして慶兄を見上げていた。