いちご


瑠衣斗との出会いは、高校に入った初めてのクラスで、席が隣だっただけだ。


ただそれだけ。


「…もも?ももって言うの?」

突然声を掛けられ、右隣の席をみると怖い人がいた。


「…は?はあ」


何で名前知ってるんだろう…。

不安になりながらも返事を返した。

「うちの犬も、ももなんだ」


ニコニコと笑って言った瑠衣斗は、八重歯が印象的だった。


「……へえ」



よく言われますが何か?



当時の瑠衣斗は、それはそれはすばらしい程の金髪で、少し長めの髪は傷んでなくて、太くてコシのある髪質らしく、たまに寝癖で爆発して登校していた。今は落ち着いた明るい茶髪だけども。



…ガラ悪かったと思う。



左耳にシルバーのピアスを付けていて、整った意思の強そうな眉は男らしかった。

背も飛び抜けて高かったので、入学初日からとても目立っていた。



そんな瑠衣斗は、超が付く程の田舎っ子だった事を知ったのは、初めてのクラスでの自己紹介で知った。


< 6 / 503 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop